2008年12月14日
第八回勉強会(教師研習會)の報告
今回のテーマは『大家的日本語』14課について。
まず、二、三人の小さなグループに分かれ、事前に配布しておいた 質問シートに沿って意見交換。全ての質問に答える必要はなく、それぞれがコメントしたいと思うものだけでOKということにして自由に話し合ってもらいました。「長い間この単元を教えていない」「まだ一度もこの課を教えたことがない」という方もいらっしゃいましたので、デモや全体での話し合いの前に、ある程度、問題意識を共有したいと思っての試みです。
次に、黄さんのデモ授業。動詞のグループ分けの説明や、1グループ動詞の変化規則の説明を、多くの図表を使って丁寧に見せてくださいました。「ます形」から「て形」への変化の複雑さは、50音から勉強してきた学習者にとって、最初の難関とよく言われますが、黄さんのようにきちんと整理して説明してもらえると、非常にすっきりしたものに感じました。そして、変化規則を覚えるための「て形の歌」の紹介。私(犬山)が知っていたのは、「カエルの歌」のメロディーを使ったものでしたが、「ロンドン橋」や「雪山賛歌」を使ったものなど様々なバリエーションがあるのですね。
それから、伊藤さんから「て形」の様々な用法についての話。ここから、14課のB-1とB-2の違いへ。簡単に言うと、1が「指示」で、2が「依頼」。授業中は教師がその違いをしっかりふまえた上で、例文を作ったり、練習の状況設定をしたりしないと、混乱が起きる。特に学習者同士で会話などを作ったりする場合、同年代や同等の関係の中で、「てください」を使うのは稀なので、「リーダー」や「上位者」などという役柄の設定が必要になるだろう、と。
【参考】「てください」の基本的な三つの機能
1 [指示] 医者: 食後にこの薬を飲んでください。
2 [依頼] すみませんが、辞書を貸してください。
3 [勧め] 私が作ったケーキです。どうぞ食べてください。
まず、「"No"と答えられないもの」つまり、必ず「はい」と答えなければならない「てください」は「指示」。次に、「誰の利益か」で分ける。話者の利益になるものは、「依頼」、聞き手(相手)の利益になる「てください」は「勧め」に分類することができる。(→参照『日本語教科書の落とし穴』アルク P.28)
上のお二人の発表者以外からも、様々な発言が出ましたが、90分はあっという間に過ぎてしまいました。私(犬山)が個人的に印象に残ったのは、林老師が話してくれた友達の体験です。
林老師の友人が日本人のルームメイトといっしょに住んでいた時に、「依頼」のつもりで「てください」を何度も使っていたら、ムッとされたという話。上記のように「てください」には指示の機能もあるので、あまり頻繁に使われると、命令されているように感じるのでしょう。
「依頼」の場合だけ、敬語表現が他の二つと違います。「指示」「勧め」の場合、「お~ください/敬語+ください」の形になります(例 「お飲みください」「めしあがってください」)。一方、「依頼」の場合、動詞はそのままで「てくださいませんか」「ていただけませんか」などをつけることになります(例 「貸していただけませんか」)。
ですから、友達同士の会話でも、三つの機能を併せ持つ「ください」を使うよりも、「依頼」の場合は「てくれませんか(てくれない)」「てもらえませんか(もらえない)」を使ったほうが、「お願い」している気持ちがはっきり出るのだと思います。『大家的日本語』の第14課 B-2でも、「すみません」をつけて「依頼」であることを明示しています。
90分では、やはり話したりない部分もありましたが、しばらくは「サッと来て、パッと帰れる」ような気楽さを保ちながら会を継続させていきたいと思っています。残った疑問的などは、参加者それぞれの毎日の取り組みの中で考えを深めていってください。
もう一度、今回来てくださったみなさん、本当にありがとうございました。次の勉強会は、2月の中旬以降の土曜日を予定しております。詳細が決まり次第、またメールをお送りします。
また次回にお会いしましょう。(犬山)
P.S. ご希望のテーマなどありましたら、お気軽にメールでお知らせください。
まず、二、三人の小さなグループに分かれ、事前に配布しておいた 質問シートに沿って意見交換。全ての質問に答える必要はなく、それぞれがコメントしたいと思うものだけでOKということにして自由に話し合ってもらいました。「長い間この単元を教えていない」「まだ一度もこの課を教えたことがない」という方もいらっしゃいましたので、デモや全体での話し合いの前に、ある程度、問題意識を共有したいと思っての試みです。
次に、黄さんのデモ授業。動詞のグループ分けの説明や、1グループ動詞の変化規則の説明を、多くの図表を使って丁寧に見せてくださいました。「ます形」から「て形」への変化の複雑さは、50音から勉強してきた学習者にとって、最初の難関とよく言われますが、黄さんのようにきちんと整理して説明してもらえると、非常にすっきりしたものに感じました。そして、変化規則を覚えるための「て形の歌」の紹介。私(犬山)が知っていたのは、「カエルの歌」のメロディーを使ったものでしたが、「ロンドン橋」や「雪山賛歌」を使ったものなど様々なバリエーションがあるのですね。
それから、伊藤さんから「て形」の様々な用法についての話。ここから、14課のB-1とB-2の違いへ。簡単に言うと、1が「指示」で、2が「依頼」。授業中は教師がその違いをしっかりふまえた上で、例文を作ったり、練習の状況設定をしたりしないと、混乱が起きる。特に学習者同士で会話などを作ったりする場合、同年代や同等の関係の中で、「てください」を使うのは稀なので、「リーダー」や「上位者」などという役柄の設定が必要になるだろう、と。
【参考】「てください」の基本的な三つの機能
1 [指示] 医者: 食後にこの薬を飲んでください。
2 [依頼] すみませんが、辞書を貸してください。
3 [勧め] 私が作ったケーキです。どうぞ食べてください。
まず、「"No"と答えられないもの」つまり、必ず「はい」と答えなければならない「てください」は「指示」。次に、「誰の利益か」で分ける。話者の利益になるものは、「依頼」、聞き手(相手)の利益になる「てください」は「勧め」に分類することができる。(→参照『日本語教科書の落とし穴』アルク P.28)
上のお二人の発表者以外からも、様々な発言が出ましたが、90分はあっという間に過ぎてしまいました。私(犬山)が個人的に印象に残ったのは、林老師が話してくれた友達の体験です。
林老師の友人が日本人のルームメイトといっしょに住んでいた時に、「依頼」のつもりで「てください」を何度も使っていたら、ムッとされたという話。上記のように「てください」には指示の機能もあるので、あまり頻繁に使われると、命令されているように感じるのでしょう。
「依頼」の場合だけ、敬語表現が他の二つと違います。「指示」「勧め」の場合、「お~ください/敬語+ください」の形になります(例 「お飲みください」「めしあがってください」)。一方、「依頼」の場合、動詞はそのままで「てくださいませんか」「ていただけませんか」などをつけることになります(例 「貸していただけませんか」)。
ですから、友達同士の会話でも、三つの機能を併せ持つ「ください」を使うよりも、「依頼」の場合は「てくれませんか(てくれない)」「てもらえませんか(もらえない)」を使ったほうが、「お願い」している気持ちがはっきり出るのだと思います。『大家的日本語』の第14課 B-2でも、「すみません」をつけて「依頼」であることを明示しています。
90分では、やはり話したりない部分もありましたが、しばらくは「サッと来て、パッと帰れる」ような気楽さを保ちながら会を継続させていきたいと思っています。残った疑問的などは、参加者それぞれの毎日の取り組みの中で考えを深めていってください。
もう一度、今回来てくださったみなさん、本当にありがとうございました。次の勉強会は、2月の中旬以降の土曜日を予定しております。詳細が決まり次第、またメールをお送りします。
また次回にお会いしましょう。(犬山)
P.S. ご希望のテーマなどありましたら、お気軽にメールでお知らせください。
引用URL
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回應文章 

て形への変化は、教えている方が気の毒になってしまうほど、突然ハードルが上がる感じがあります。
その負担をどれだけ減らせるかが、日本語教師の腕だと思うのですが、発表して下さった先生方皆、工夫を凝らしていて、素晴らしかったです。
次回も楽しみにしております。
Posted by ごんがじる
at 2008年12月17日 19:46


